丁寧な修理技術

修理へのこだわりと技術

当たり前のことですが、いつも一番に気にかけていることは「お預かりしたお品物の仕上がり」です。

新品とは違うので、大げさかもしれませんが一点一点に歴史があります。だからお品物の状態もすべて異なります。2つとして同じ物はないといっても言い過ぎではありません。

そういうお品物をお直しさせていただくわけですから、やはり「マニュアル通り」というわけにはいきません。
例えば、「使い込まれた質感を残したまま直して欲しい」というご相談を受けることもあります。
色や質感をどれくらい再現できるか。もちろん実際に合わせてみないとわからない。修理用に在庫として持っている革だけでは再現できない場合もあります。

たとえ同じブランドのバッグであっても、それまでにどんな風な使われ方をしたかで、革の風合いも変わってきます。そんな時は私の場合、送られてきたお客様のバッグを持って革屋さんに出向き手触りなどを比べたりします。
せっかく、信頼してお任せいただいているわけですから、できるだけ違和感のない素材を探しだして再現したいと思います。
「祖母の形見なんですけど」とか「修理して娘に譲りたいんです」と言われることがあります。
そうすると「なんとか直してあげたい」と思ってしまいます。

当工房が一番こだわっていることは「使えるように直す」ということではないのです。いってしまえばそれは当たり前のこと。物が溢れる現代、壊れてしまえば新しい物に取り替える…。ある意味これが普通のことかもしれません。それを私達に修理を依頼してくださるということは、そこには金額だけでは買うことのできない思い出があったりします。バッグの修理、靴の修理といった作業を通じて、お客様のお手元に“思い出も一緒に蘇らせる”という気持ちで一点一点を修理していきたいと思います。

色調の技術と染めの作業

同じ色でキレイにしたい。というご要望も少なくありません。
ですので、色のバリエーションやオリジナル色の再現性には特に力を入れています。まずは色のバリエーションですが、従来ですと単純に“赤”や“黒”“茶色”などおおまかな指定くらいでしたが、当店で300種類の中から細かい色を指定していただけます。
また、さらにそこから調合して微妙な色を出していきますので、お客様の想像通りの色を出すことも可能です。

色の再現自体は実は単純ではなく、湿気や気温、また乾き具合によって同じように調合したとしても微妙に色味が変わってくることもありますので、そういった要素もある程度計算に入れて作業を行ないます。

ご依頼で多いのは“元々の色、オリジナルの色に染め直してほしい”というものですが、お客様によっては気分を変えてまったく違う色にしてほしいというご依頼もあります。そういった場合、微妙な色あいを出す必要があったりしますが、そういったこともお気軽にご相談ください。

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